心理検査について 4

心理検査の判定文については、これまで、専門家向けの判定文と、保護者及び子ども向けの判定文、2種類を作成していました。前者は専門用語や数値を基本に、検査結果をより的確かつ迅速に専門職内で共有し、有効に使っていくための内容や書き方を意識して書いていました。

一方、後者には、もちろん専門用語は極力使わずに、わかりやすいことを意識。また数字についての説明も長くなりすぎず、だからといって「この数字の意味、なんのこっちゃ??」とならないような説明をこころがけていました。そして、私が一番大切にしていたことは「手紙を書くように書くこと」です。

どういうことかというと、心理検査というのは何らかの弱点やマイナスの部分が浮き彫りに出てきます。もちろん逆もしかり。その人の得意な部分や健康な部分も出てきます。しかしながら、ここが自戒の念も込めていうと、心理職(カウンセラーと呼ばれる人々)は分析や見立て(この人の現状は、~~~な状態である、とか○○な傾向が強いだろう、とか)は得意なんです(と、個人的ですが思います・・・)。熟練した先生や経験のある方は、心理検査からその人の病態水準や性格傾向までもあててしまう(やや不適切な表現かもしれませんが)ことが出来ます。これはこれで、有効に使えば今後の治療やカウンセリングの大きな一助となります。

しかしながら、時に・・・。大体が保護者の方から怒りや落胆の感情と共に、「結果文を渡されたのですが、なんだか子どものだめなところを指摘されているみたいで、一回読んでからは、もう一度読む気になれませんでした…」とか、「口頭だけの説明しか出来ないので、メモを取って下さいと言われて。メモをとって聞きましたが、素人なので、その時は「あーそうなのか」と思いましたが、翌朝にはすでに忘れていました」とか・・・

これでは、本当に心理検査をとる意味がないといっていいほどだと思います。

前置きが長くなりました。

先の私の気を付けている「手紙を書くように書くこと」というのは、このように、分析や見立てだけで終わらずに、そこからもう一歩進んで、どのような工夫をすると有効か、どんな対策をとると今後の支援がより生きていくか、といった視点のコメントを必ず入れています。そして、得意な部分や健康な部分対しては「ぜひ、自信を持って下さい」や「この点は今の職業に十分に生かされているものと思われます」といった文面を用います。

そして、最後に、「今回の検査で出た結果は一つのツールでの結果です。絶対ではありません。今回の結果を、今後より生かして、苦手な部分の克服、得意な部分の向上を目指していきましょう。また何かございましたらご連絡頂ければと思います。お疲れ様でした」といった内容で締めています。

心理検査は取って終わりではなく、取ってからの方が大切で、いかに結果を生かしていくかが重要と考えています。

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