本の紹介5

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

梅雨明けが待ち遠しいですねー(^^)/

まぁ天気は誰もがコントロールできないもの。

受け止めつつ、カラッと雲一つない空を早く見たいものです。

さて、今日は、池田晶子さんの著作を紹介します。

この方は残念ながら、お亡くなりになられているのですが、たくさんの興味深い著作を残しています(私は結構、持っています)。くわしくはこちらのサイトを。

 

『14歳の君へ』どう考え どう生きるか

池田晶子、毎日新聞社、2006.

P30

人は「自分」というものを、あれやこれやの自分のことだと思っている。あれが好きだったり、これが嫌いだったり、あるいは他人にどう見られるか、そういうのが自分なのだと思っている。これが根本的な間違いなんだ。「自分」というのは、そういうあれやこれやの自分のことじゃない。いや、あれやこれやの自分でもあるけれど、そういう、あれやこれやの自分を、自分であるとか自分でないとか思っているところの、この自分、これこそが「自分」、本当の自分というものだ。あれやこれやは、気分や状況や他人の思惑で、いくらでも変わってしまうけど、この自分の方は、変わらない。あれやこれやでは決して変わらないところの自分だ。さて、変わる自分と、変わらない自分、本当の「自分」はどっちだろう。

「本当の自分」は、今ここにあるのだから、どうしてどこかに探しに行く必要があるだろう。探すから、見つからないんだ。なぜなら、あれやこれやの自分なんてものは、じつは「ない」ものだからだ。「ない」ものが見つからないのは道理じゃないか。

逆に考えてみてもいい。本当の自分は「ある」と言ったけど、じゃあ、いったいそれは何だろう。それは、あれやこれやの自分じゃないから、これが自分だという仕方で示すことが、決してできないような自分だ。それなら、そんな自分も、じつは「ない」と言うこともできる。

さて、あって、ないもの、「自分」の不思議。この面白さに気がついたら、君は、みんながやってる自分探しなんて、つまらなくてやってられなくなるはずだ。

 

 

どうでしょう??

私は心理学に興味を持つ前(いや、同時期?)に哲学にも興味がありました。当時は「哲学をやっている自分って何か恰好いいかも・・・」なんて思いを抱いていた自分もいました(今考えると恥ずかしいですが・・・)。

そして、高校・大学時代には、先の引用にもあったように「自分探し」を一生懸命していた気もします。色々と考え悩み、大学院に進学することが決まった時には、「自分探し」はだいぶ収まっていたと思います。

この本を読んだときは、すでに30歳手前になっていましたが、非常に興味深く、「なるほどなぁ」とか「そうかなぁ」とか、「こういう考えもあるのか」とか、頭の中で色々とつぶやきながら読んでいました。そうすることによって、新たな考え方の引き出しが増えたり、新たな言葉の言い回しが生まれたりするものでしょう。やはり、言葉や考えというのは、自分一人の世界では、息詰まるものです。これからも、たくさんの言葉に出会い、考え方や表現方法を豊かにしていきたいと思います。

ではでは。