本の紹介 31

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

久しぶりの本の紹介です。

「言語の本質」

ことばはどう生まれ、進化したか

今井むつみ・秋田喜美 著、中公新書、2023.

やや専門的な内容でしたが、面白く読ませて頂きました。

「オノマトペ」を問うことから本著は始まります。

「オノマトペ」というのは、くるくる、キラキラ、ポンポン、べちょべちょ、サラサラ、

など挙げだしたらきりがないですね。

普段、我々が何気なく使っている「オノマトペ」ですが、なかなか奥が深い!

中でも終章で著者が挙げた疑問に私も興味を持ちました。

P250

「普通のことば(たとえば「ウサギ」)は音から意味を推測することができないのに、なぜオノマトペは音から意味はわかってしまうのだろう?どういう音とどういう意味が「似ている」感じを創り出すのだろう?どのような脳の仕組みで、音と意味の間で「似ている」ことを感じるのだろう?オノマトペは一般語と脳での処理のされ方が違うのだろうか?音と意味のつながりはいつからわかるようになるのだろう?オノマトペをたくさん聞くことで、意味と音のつながりの感覚が学習・調整されるのだろうか?それとも、その感覚は生まれつき決まっているのだろうか?オノマトペは文化や言語の違いを超えて普遍的なのだろうか?」

カウンセリングにおいても、オノマトペが使われることがあります(もちろんですが・・・)。

例えば、

カウンセラー:その時はどんな気持ちでしたか?

クライエント:うーん、なんていうか、胸の奥がギューっと握りつぶされるような・・・なんとも言えない、ザラザラした気持ちになりました。

カウンセラー:胸がギューっと握りつぶされる感じ・・・そして、ザラザラした気持ちにもなったんですね。もう少し、詳しく言えますか?

と言ったやり取りがなされることもあります。

なんとなくニュアンスは伝わってきますよね。しかし、ニュアンスだけでなく、よりそのオノマトペが使われた部分の具体的な言葉を共有していく。

そして、クライエント自身がまだ気付いていない気持ちや考えが立ち現れてくることがあります。

そこはなんとも表現しにくいのですが、私の主観的な言葉で言うと「カウンセリングが深まっていく」感じです。

普段、そこまで意味や使い方を気にしていなかったオノマトペを、

この本を読んで、改めて考えることができました。

是非、皆さんも手に取ってみてください。

ではでは、また~~