「でも」という言葉②

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

11/1の記事(←はこちら)に引き続き、「でも」という言葉について書きたいと思います
前回の記事においても臨床場面において、私は「でも」という言葉はなるべく使わないようにしている、と書きました。
が、時にクライエントさんから、この「でも」が使われる場合があります。
その際には私は、あまりうまくいかなかったカウンセリングと感じます。
具体的には、
色々、お話を聞く中で、クライエントさんから「どうしたらいいですか?」と尋ねられる時があります。
この言葉が出た時には、私は慎重になります。

ここからのお話はとても難しい話しになるのですが、
「どうしたらいいですか?」と聞かれると、つい人は解決や方法を答えたくなりがちです。
もちろん、話の流れで解決策を提案することで、話が展開し、
より良い方向に行くこともあります。

しかしながら、「どうしたらいいですか?」と聞かれたからといって、
すぐに解決策や何らかの方法を提案してしまうと、
うまくいかないことや、逆にこじれてしまうこと、そしてマイナスな方向に話が進んでしまうことも正直あります。

例えば、
クライエント:「子どもがゲームばかりやっていて、最近成績が落ちてしまっています。
ゲームをやめさせるには、どうしたらいいですか?」

カウンセラー:「ゲームの制限時間を設けたらいいと思いますよ」

クライエント:「でも、以前、『制限するわよ』と言ったら、逆ギレされて関係がとても悪くなってしまいました」

また、
クライエント:「最近なかなか眠れなくて…どうしたらいいですか?」

カウンセラー:「ウォーキングや適度な運動をすると良いと思いますよ」

クライエント:「でも、運動は苦手なんですよ」

といった感じです。

これらはやや極端な例ですが、

こうなると、
「どうしたらいいですか?」
「こうしたらいいんじゃないですか」
「でも・・・」
と言ったような無限ループが始まってしまう場合があります。

そこはカウンセラーの技量が問われるところでありますが、
このループになるべく、はまらないような心がけや聞く姿勢や提案のタイミングというものが非常に難しいと言うことです。
その点を見間違うことによって、相談がうまくいかなくなってしまう。
また、
「どうしたらいいですか?」と言う裏側にある、クライエントの心配や不安や困惑といった気持ちをいかにくめるか。
つまり、
「どうしたらいいですか?」という質問に対して、
「解決」ではなく「共感」と言うことに重きが置かれている場合があります

この「解決」なのか「共感」なのかと言う、クライエントさんのニーズの見極めが、
カウンセラーの臨床の力と私は考えております。
とは言え、このように偉そうに申しましても、
なかなかその見極めが何年もやっていても難しい。
今後もこの「解決」と「共感」の境目を見極める力をよりつけていくよう、精進していきたいと強く思う日々です。

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