私の出会った先生②
かねこカウンセリングオフィスの金子です。
「なぜ万引きをしてはいけないのか??」
この問いは、高校時代の国語のY先生が、授業中に何気なく話してくださった小話の中で我々、生徒に投げかけられたものでした。
(私は中高とバスケットボール部に所属していましたが、高校2年から古典研究部という部にも所属しており、Y先生はそこの顧問の先生でした)
皆さんは、どのように答えますか?
<法律で決まっているから><犯罪だから>でしょうか??
Y先生は一通り、生徒の答えを受けながら、最後にこうおっしゃりました。
「万引きというのは、みんな、分かっているように、犯罪だ。してはならない行為である。しかし、魔がさして、ついつい、出来心で、万引きをしてしまった場合が怖い。万引きというのは、一度やってしまうと、癖がつくものだ。達成感や興奮感、スリルなどで、ついつい、もう一度やりたくなってしまうもの。そして、何度も繰り返すようになってしまう・・・1回で終わらず、10回、100回と癖になって、ついには10000回までやりたくなってしまう。だから「万引き」と呼ぶんだ。それぐらい癖になるし、怖いものだから、絶対にやってはいけないんだ」と。(これはあくまでもY先生の個人的な意見ですので、あしからず・・・)
当時、高校生だった私はこの話を聞いて、言葉にしがたい恐怖を感じる一方で、妙に納得したことを覚えています。
そして最後に、こう付け加えました。
「けれども、みんなの中で、捕まらずに10001回、万引きを成功した者がいたら、大きな声では言えんが、それを生業(仕事)として、生きていくのも一つだ」と・・・
もちろん、冗談ではありますが、高校生ながらも、「面白いことを言う先生だな~~」と昨日のことのように思い出すことが出来ます。
行動主義心理学の大家のB・F・スキナーの洞察で
「教育は学んだことがすべて忘れられた後に残る”何か”である」という言葉があります。
(『すごい言葉』実践的名句323選、晴山陽一、文春新書、2004. P112~引用)
まさにこの言葉の通り、後々(このエピソードは20年以上も前のことですが、今もなお、鮮明に覚えています)、自分の中に残ったものに真の意味があると私は思います。
現在、私も看護学校で講師の仕事をしていますが、より多くの生徒さんにとって後々に少しでも残るような授業内容を届けていきたいと思います。
ではでは~