本の紹介 28

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

恒例の本の紹介です。

「感覚統合あそび、川上康則監修、ナツメ社、2015」

P8
私たちは、日常的にさまざまな「感覚」を使って暮らしています。「五感」と言われる「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」は、自分で意識しやすい感覚です。

一方、ほとんど自覚せずに使っている感覚があります。身体のバランスを取るときに使う「平衡感覚」、身体の動きをコントロールしようとするときに使う「固有感覚」などがその例です。
「触覚」には、実際にふれて感じる機能のほかに、無意識に使っている本能的な機能もあります。
本書では、人が生まれた時から普段ほとんど自覚せずに使い続けている3つの感覚に着目します。3つの感覚は私たちの日常生活においてとても重要な役割を果たしています。

P11
「平衡感覚」、「触覚」、「固有感覚」の3つの感覚は、周囲から見ても認識しにくく、アンバランスを抱える人の大変さは、なかなか理解されていません。
発達障害があったり、気になる子供を見せたりする子供たちが、どうしてそのような行動を取るのかを考えるときにはぜひ、この3つの感覚を注意深く見てください。

中略

「平衡感覚」が低い反応(鈍感)だと、バランスをまっすぐに保って立つと言うこと自体が難しく、ふらふら落ち着きなく揺れたりする行動(自己刺激行動)が見られます。
「固有感覚」が低い反応(鈍感)で、筋肉の張り具合を調整するのが苦手な子もいます。体幹のコントロールが難しく、クニャクニャとしてすぐ座ってしまうことがあります。周りからは「だらしない」「態度が悪い」と見られてしまうこともしばしばです。しかし実際には、子供の気持ちから頼んでいるわけではなく、質の悪い方が、よくわからないだけと言うことも少なくないのです
「固有感覚」が鈍感だと、力の入れ方の微調整がきかないために、牛乳パック強く握り締めて中身を噴きだせてしまったり、パックを持つ力が不十分で落としてしまったりすることがあります。
「触覚」が過反応(敏感)であるために、牛乳にあるわずかな粘性が苦手で、牛乳を飲むと言う行為そのものを拒否するようになってしまった子がいます。

中略

このように、同じように見える行動でもその理由は何通も考えられます。いくつもの「感覚のアンバランス」が絡み合っていることがあります。
子供を理解するためには、まず、自覚せずに使っている3つの感覚「触覚」、「平衡感覚」、「固有感覚」について詳しく知る必要があります。そのうえで子どもの姿を観察すると、つまずきの背景が見えてきます。

また、本書の素晴らしい点は、具体的にどのような対策をしたらいいのか、が書かれているところです。

具体的には、
P23
姿勢の悪い子に対して、実践アイディアとして、
・背中で手を組む
・机の下に「足置き」を作る

といった(↓写真参考)といったものが随所にちりばめられています

ぜひ、教育関係者はもちろん、発達の凹凸を持っているお子さんの保護者の方々にも手に取って頂きたい本と思います。
私も実際の臨床の場でいくつか役立つ方法や対策を本中に見つけたので、実践していきたいと思います。
では失礼します。