本の紹介 23ー①

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

「学校ってなんだ!日本の教育はなぜ息苦しいのか」

工藤勇一 鴻上尚史 講談社現代新書 2021.

非常に興味深く読ませて頂きました(際に読んだのは1年も前ですが、なかなかまとめられなかったです)。

工藤先生と鴻上氏との対談形式なので、とても読みやすかったです!

いつも通り、気になった点などを引用しご紹介出来たらと思ったのですが、たくさんあったので、何回かに分けて、ご紹介したいと思います。

まずは、

P39

「服装の乱れは心の乱れ」とか「規律がないと学校が機能しない」というのも、大人が勝手に作り上げた問題にすぎません。単なる迷信です。

P47

鴻上:服装の乱れが心の乱れだとしたら、いじめをこっそりやっている人達はみんな服装が乱れててほしいんですけどね。陰湿で巧妙ないじめをやっている人間ほど、バレたくないんで、ちゃんとしてますからね。

工藤:結局、多くの先生たちって、説明したくないんですよ。面倒だし、矢面に立ちたくない。何か意見を言うことで対立が起きれば感情的なやり取りをしなければいけないと思い込んでいる。ダイバーシティとは真逆の価値観が染み付いてしまっているんですね。

 

確かに~~~~

スクールカウンセラーで公立の中学校に行っていた時があったのですが、校則やスカートやズボンのたけに、細かくこだわる先生っていますよね~~~(なんであそこまでこだわるか、私は本当に不思議でした・・・)

もっと見るとこ、あるだろうに・・・

 

続いて・・・

p158
鴻上
工藤さんと接する中で、大きく変わった先生もいますか?

工藤
例えば、私が麹町中に来たばかりのころ、ものすごく校則やルールに細かく厳しい教員がいたんです。いつも服装・頭髪指導をばんばんやってた。時にはあまりに厳し過ぎて保護者から私に訴えがあるほどだったのですが、信念があり、絶対に譲らないってタイプの人でした。その教員も今では真逆に変わりました。

鴻上
なにか変わるきっかけがあったんですか。

工藤
もともと優秀な教員だったんです。さまざまな経験を積んで、苦労もされて。自分のやり方にもこだわっていたのでしょう。だから、私が学校を変えていこうとした時も、納得できないことは、はっきりと言ってくれました。
後に聞いた話ですが、この先生、新人時代は授業が成立しなくてぼろぼろになっていたそうです。若い女性の先生。さぞかし、苦労されたことでしょう。からかわれ、馬鹿にされ、泣いたこともあるそうです。だからこそ、強くなろうと頑張ったんでしょうね。虚勢を張り、言葉遣いを変え、時には力で生徒を押さえつけることで、弱い自分を克服したんです。そして自信をつけていく。子供を統制することを自分のスタイルでした。
あるときね、その先生にこう言ったんです。
「僕らの仕事がね、時には自己否定することなんです」
いままで正しいと思ってしてきたことも、もしかしたら間違っているかもしれない。そもそも、それがほんとうに子どもたちのためになっているか。自律した子どもを育てることに役立っているのか。常に考え続けることが大事だし、自分自身を否定してみることも重要だと伝えたんですね。
きっと苦しかったと思うんですよ、これまでのやり方を変えるのは。自分が長年よかれと思って続けてきたことを、1からやり直すのは。でも、その先生、一生懸命に考えたんだと思います。
私の言葉を受けて、最重要目標は何なのか、何のために教員をやっているのか、そういうことを意識してくれるようになったんです。
子どもたちに自治させることの意味も誰よりもわかってくれたんです。そしたら、この教員が最初に、私服登校期間とかつくってみたらって、提言してくれたんです。

 

なるほどですね・・・

その先生にしかわからない事情や経験がある。

そして「教員」としてのプライドや姿勢があると思います。

自戒の念も込めてですが、工藤先生の言う、

「僕らの仕事がね、時には自己否定することなんです」

なかなか難しいことですよね・・・

「常に考え続ける事」ともありました。

臨床心理の世界に身を置かせて頂き、本当に痛感します。

「もっとこうしたらよかったのではないか・・・」

「あの時、別の言葉掛けが出来ていたら・・・」

このブログでも何度が書いたことがありますが、

人の心は、究極的にはわかりません

けれども、分かろうとする努力は出来ます

10月に入りました。今年もあと2か月。

日々、やっていきましょう。

ではでは。