本の紹介 11

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

9月に入りましたね。本日はこれまでの暑さに比べると、やや涼しかった?と言えますが、金子にとっては、相変わらず暑い日で、汗をダラダラかいていました笑。

さて、お盆休みやスクールカウンセラーのお休みの日には結構、本を読む事が多かったのですが、読むだけで、なかなか、まとめることをさぼってしまっています・・・(=_=)

そんな中、最近まとめた本を紹介します。

こちらです。

「絲的ココロエ」 「気の持ちよう」では治せない 絲山秋子著 日本評論社 2019

この本の著者の絲山秋子さんは、好きな作家の一人でして、淡々とした文章なのに、読み終わると、何かが私の中でひっかかることが多く、ふとした時に、手に取りたくなる作品が多いです。

(個人的には「沖で待つ」、「逃亡くそたわけ」、「ばかもの」、「薄情」が好きです。まだ読んでいない作品もあるので、今後、紹介していけたらと思っています)

 

そんな作者が書いたエッセイ。著者は双極性障害と発達の凸凹を抱えている。それらに翻弄されず、著者なりの付き合い方や工夫が至る所に散りばめられていると感じました。

恒例の気になった部分の引用です(^^)/

P12

双極性障害だけでなく発達障害のこと、体調管理についてなど、1998年の発症からほとんど再発がなくなった現在までに、私が考えたことや、気をつけていることが人の役に立てばありがたいと思う。また私もこの原稿を通して自分自身を見直し、少しでも成長したいとい願っている。

P19

「気の持ちよう」で治るのならば、それは病気ではない。生活に支障をきたしているから病気の診断を受けるのである。精神の病は目に見えないので、心構えだの甘えだの態度だのと言う人は必ず存在するのだが、そんなときには、反論せずに自分にこう言い聞かせることにしている。

「人間は自分の意思では虫歯ひとつ治せません」

虫歯の痛みは激しいものだが、それでも痛みそのものは自分の目には見えないのである。決して病気を舐めているわけではないが、風邪や虫歯のようにとらえて気持ちが楽になったことはある。再発について警戒は怠らないけれど、不要な心配はしなくなった。

不要な心配は、しなくてもいい苦労だ。しなくてもいい苦労は排除してしまえばいい。

このことは健康な人でも同じことだと思う。何が不要かということについては、時間があって体調がいいときによく考えてこころの引き出しに準備しておけばいいと思う。

(下線、金子)

P104

「若く見える」というのは誉め言葉だが、あらためて世の中を見回してみると、老いへのネガティブなイメージとともに、「若く見せること」への強迫観念が強くなってはいないかと、少し心配になることもある。見た目の若さや、元気そうに見せること、前向きさ、楽しそうにふるまうことなどである。もちろん健康に気を遣う事はいいことだ。だが、体力が落ちているのに無理に元気そうにふるまったら余計に疲れてしまうだろう。日々の生活に楽しみを見つけることや、周囲の人に喜びを与えることもすばらしいことだが、悲しい気持ちのときに楽しそうに見せることはストレスフルだ。これでは、かえってつらい思いをする人もいるのではないかと思うのだ。

 

どうでしょう??

「人間は自分の意思では虫歯ひとつ治せません」

という言葉は名言だと思いましたし、核心をついていると思いました。

誰もが自らが病気になりたい人はおりません。しかし、様々な環境や状況、複雑な要素が絡み合って、病いと呼ばれるものを抱える場合があります。

自戒の念を込めて、誰しもが身体的・精神的な病になる可能性があります。

そのような時には月並みな言葉ではありますが、一人で抱え込むことなく、信頼できる人や、専門家に相談することをおすすめします。

ではでは、また。

 

 

本の紹介

前の記事

本の紹介 10