本の紹介 20
かねこカウンセリングオフィスの金子です。
2021年5月12日の記事で紹介させて頂いた、
「学校、行かなきゃいけないの?」、雨宮処凛、河出書房新社、2021.
結構前にまとめてはいたのですが、紹介するのを忘れていました・・・(*_*)
いくつか気になった内容を引用、紹介させて頂きます。
P53 フリースクール「東京シューレ」理事長 奥地圭子氏
「コロナ禍の前から、不登校や引きこもりって時代の最先端なんじゃないかって思ってましたけど、今はお父さん方だって会社に行かないで家で仕事をしている。不登校の子たちはテレワークみたいなことを先取りしていたんですね。オンラインでいろいろできる社会になったら、大勢が1つの場所に集まって同じことをやる必要は無い。大量生産の近代社会だったら、工場や会社に一斉に人がいることが必要だったかもしれない。だけど、今は違うと言うことが、コロナ禍でどんどん証明されている。コロナ禍は大変だけど、学校は好きじゃない、集団が苦手、1人で自分の好きなことに集中したいって子たちが異常視されない状態になったと思います」
<中略>
「中学卒業した後の進路は、高校とは限らない。もう、自由に生きていいんだよって思います。高校に行きたい子は行けばいいし、学校に行きたくないんだったら、学校以外の道はあるし、その道を行った人はたくさんいる。演劇が好きで劇団に入った人もいるし、物作りをしている人もいるし、音楽や料理やいろんな道がある。学校に行きたくなかったら、自分は何をしたいのか、どんな生き方をしたいのかってところから考えていいんだよと言うメッセージを送りたいですね。
P70 世田谷区立桜ヶ丘中学校、元校長 西郷孝彦氏
「ストレスがないと、いじめもなくなる。勉強のストレス、人間関係のストレス、いろいろあるから、何しろストレスをなくそうってことです。それで自分は自分でいいよって納得すると、本当にストレスが減るんですよ。私は私、あなたはあなた、関係ないよって思えたら人のことも人の目も気にしなくなる」
「結局、先生が子供たちの人権を無視していじめてるんですよ。子どもたちに人権無視のことをしているから、それが刷り込まれてしまう。そして先生が生徒にやってるのと同じことを子供たちは弱い子にしてるんです。だから、先生がいじめをしなければ、いじめなんてない」
「みんな前の学校引きずってくるから、怒鳴ってた先生は怒鳴るし、生徒に威張っていた先生は威張る。僕はそういうとき、同じことをその人にするんです。怒鳴る先生には怒鳴るし、机を蹴飛ばしている先生がいたら、僕も蹴っ飛ばしてやる。『ね?怖いだろう?』『あなたがやってるのはこういうことです』って。人間って自分がされる側になって初めてわかる。経験しないとわからないんですね」
どうでしょうか??
スクールカウンセラーをしていて、「学校」という集団生活の場が、「辛い場所」になってしまっているお子さんと接する機会が多々あります。そして、大抵が、「校則」、「ルール」、「みんなが守っている(取り組んでいる)から」、「前例がないから」、「逃げている」、「なまけている」といった類の言葉を使われる先生がいます。そのたびに、私は自分自身の力のなさを痛感すると同時に、「学校」、「先生」という集団の中で、スクールカウンセラーとして動くことの難しさを感じることがあります。
もちろん、先生と協力して、子どものストレスを減らし、うまくいくことも多々あります。そのような時は、スクールカウンセラーとしてのやりがいはもちろん、「学校現場で働くこと」の面白さや大切さをかみしめることも出来ます。
が、話は戻って、なかなか、うまくいかない時に、スクールカウンセラーとして何が出来るかを、自問自答しています。
「他者」や「校則」と言った、自分の力ではどうにも変化が難しい場合には、自分が変わる方にエネルギーを注いだ方が事態は好転しやすい。嘆いてばかりでは、変わらないので、少しでもやれることから、少しづつ、今日からの臨床にも励んでいきたいと思います。
ではでは。