本の紹介 48

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

今回はブログでも何度かご紹介したことのある中村文則氏のデビュー作を紹介したいと思います。

「銃」、中村文則、河出文庫、2012.

(この河出文庫から出ている本書は、新潮社より新潮文庫として刊行された「銃」に単行本未収録「火」(『新潮』2007年9月号)を併録されたものです。「銃」は2002年に新潮新人賞を受賞した作品です)

 

なぜ突然、この本なのかというと、ひょんなタイミングでまた読みたくなって手に取ってみました。読み始めると一気に読んでしまった・・・

改めて面白かったです。ハッピーエンドでも前向きな内容でもなく、どちらかというと暗く、人間のなんとも言えない不思議な心情が描かれていると私は感じています。

作者の中村氏は、巻末(P214~)の「文庫解説にかえてー」『銃』、『火』について、

にてこう述べています。

「決して後味のいい作品ではないけれど、作者としては、デビュー作であるこの作品を偏愛している。内面に“銃”を抱えてしまう構図は、僕の人生そのものでもある」

 

そして、中村氏は他の作品のあとがきでも「読者の方々のお陰である」、「読者に支えられてきた」、「本当にありがとう」、「共に生きましょう」といった言葉が添えられている。

その度に、私は「いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます」、という気持ちになる。そして、「はい、共に生きていきましょう」と心の中で対話しています。

興味を持たれた方がいましたら、是非一読をお勧めします。(繰り返しになりますが、中村氏もおっしゃっているように「決して後味のいい作品ではない」のであしからず・・・)

ではでは。

 

 

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