やる気を出すためには・・・

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

先日、受験を控えた生徒から「やる気がでないんです。どうしたら「やる気」って出るんですか?」と質問されました。このような質問は学校場面のみならず、様々な場面で質問されることが多いです。それらの質問に関して私は、著名な脳科学者である池谷裕二さんの「受験脳の作り方」(新潮出版)からの文章を引用し、説明させて頂くことが多いです。

以下参照ください。

 「受験脳の作り方」池谷裕二、新潮文庫、2011.

P166 作業興奮という概念

やる気というものは脳の側坐核(そくざかく)という場所などで作られます。側坐核は直径1センチメートル以下のとても小さな脳部位で、脳の中心近くに存在する。この側坐核の性質がやっかい。側坐核を活性化させるためには、ある程度の刺激が必要。刺激が来ないと十分な活動をしてくれない。

ですから、何もしないで「やる気が出ない」のは、当たり前。刺激を入れなければ側坐核は活動しないので、やる気の出しようがない。ですから、やる気が出ないときは、まず何より机に向かって勉強を始めてみましょう。とにかく側坐核を刺激する。そうすると、しだいにやる気が生じて勉強に集中できるようになってくる。案ずるより産むが易し。勉強は始めてしまえば50%終わったようなものです。たとえば、大掃除。いやいやながら始めた掃除が、そのうちに気分が乗ってきて、部屋をすっきり片づけてしまった経験があるでしょう。

こうした現象は精神医学者のクレペリンによって「作業興奮」と名づけられた。始めるとだんだん調子が出て、集中できるようになる。これが作業興奮。側坐核が目を覚ますのには時間がかかる。だからとにかく机に向かって勉強を始める。そして始めたら10分は中断しない。この姿勢が肝心。(下線は筆者)

 

どうでしょう??私はこの話をざっくりして、

学生であれば「出来ることから始めてみる。例えば、英語だったら、いきなり長文ではなくて、英単語を1分でもいいから眺めるなり、書くなりしてみよう」

主婦であれば「お箸の一本、お茶碗の一個でもいいから、洗ってみる。それでもだめなら、今日の家事は明日に伸ばしましょう。けれども、お箸一本ならどうですか?やれそうに思えませんか?」

うつ病の方であれば、「ちょっと顔だけ洗ってみるとか、うがいをしてみるとか…頭の中で考えてばかりいると、よりそっちの考えに引っ張られてしまうことが多いので、大変かも知れませんが、無理のない程度の無理をしながら「えいっ!」とちょっとだけでいいんで、やってみると案外、動けたという方が多いんですけどね」などと伝えます。

しかし、中には「その一歩が難しいんですよ」と言われる方もいらっしゃいます。そのような場合には、<そうですよね、もちろん、無理は無しで。しかし、この作業興奮という脳の仕組みがあることだけでも、頭の隅に入れておいて頂くことで、もしかすると、一歩を踏み出せる可能性が高まると思います>とお伝えします。

現在、「やる気のなさ」でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非、この「作業興奮」という脳の仕組みを利用してみてください。実際に今日のこの文章も、はじめは全く書く気がなかったのですが、いつのまにか、今ここまで書けています笑。

恐るべし、作業興奮!!

ではでは。

 

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