本の紹介2

こんばんは。かねこカウンセリングオフィスの金子です。

今回は、心理療法・カウンセリングに関する、私のおすすめの本を紹介したいと思います。この本の著者の一人である森俊夫先生は残念ながら、がんで2015年に亡くなられました。余命いくばくもない状態で、本書をはじめ、3部作を出版されています。私にとっては、3冊とも、非常に興味深く、臨床に役立つものかと思います(もちろん個人の感想です)。興味のある方は手に取ってみることをお勧めします。

著作の中で出てくる、数々の技法やケースは実際に、森先生でしか出来ないアプローチや心理臨床とも言えます。しかしながら、それは私たち臨床家にとって、皆に言えることかも知れません。換言すれば、同じカウンセラーがいないのと同時に、同じ患者さんも一人としていません。以前にも書きましたが、「相性」があるでしょう。しかしながら、すこしでも多くの患者さんと適切な「相性」を持つことが出来るような臨床家を、私は目指しています。

前置きが長くなりました。以下、私が気になったり、大切だなと思ったりした文章を、若干、大雑把ではありますが、そのまま引用し、紹介させて頂きます。(前後の脈略や流れによって感じ方や捉え方も変わってくると思います。皆様においても、気になる点や自分の中で引っかかる点があれば、実際に本書をお読み頂ければと思います)

 

『心理療法の本質を語る』ミルトンエリクソンにはなれないけれど

森 俊夫・黒沢幸子 著 遠見書房 2015

P37

心理臨床の実践研究の最大の目的は、心理臨床の評価です。クライエントの問題が解決して、効果があればいいのであって、研究はそこに主軸があるべきです。当たり前の話なのですが、妙にプロセスを強調したり、精神性を強調したり、そんなことをしているとどんどん現実から遊離してしまうと思う。

 

P57

心理療法はサイコセラピーですから、基本的にはセラピーは医療の範疇なんです。医療の中で大事にされていることがサイコセラピーの中でも大事にされるべきなのね。治療期間は短い方がいいわけで、ならば効率的なやり方がいいでしょう。

P107

語幣のある言い方かもしれないけれど、10のベストの状態に戻らなくても、外に出られる5くらいになればいいじゃない。普通の心理療法は、外に出さないまま10を目指している感じがする。時間をかけて10にするくらいなら、サクッと5を目指した方がいい。あとは地域に戻って、仕事をして、生活をしていけば、10になるし、また悪くなればメンタルヘルス・サービスを受ければいいわけだから。だから時間のかかる割に効果がないと思うわけ。

 

P128

とりあえず今晩がどうにでも出来ますよねと。とりあえず今晩はどうしたいですか?何ならできるんですか?未来は思った通りになりますからね。思わない未来は出来ませんからね。今晩、どんな未来を思うんですか?これが心理療法なんですよ。セラピストやカウンセラーは過去に介入することは出来ません。未来までずっと付き合ってあげることも出来ません。セラピストやカウンセラーが唯一出来ることは、今現在進行形の未来時間イメージにちょっとした操作を加えてあげること。それが成功すればよくなるし、失敗すれば失敗。私はそう考えていて、解決志向というよりは未来志向なんです。未来をどう使うか。

P138

治してなんぼが治療者。治せない治療者はいらない。医者だって、心理だって、困っている人を前にしているんだから、治せないと。

最後の、

「治してなんぼが治療者」・・・

本当にそう思います。とは言いいつつも、なかなか改善や回復がうまくいかないケースも時にあります。反省や後悔を繰り返しつつ、日々勉強です。

また本の紹介はこのような形でしていきたいと思います。

ではでは。

 

 

 

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