本の紹介 21

かねこカウンセリングオフィスの金子です。

私の好きな精神科医の春日先生のエッセイ集です。

なかなか面白かったです。

いつもの、独断による抜粋を・・・

「無意味とスカシカシパン」詩的現象から精神疾患まで 

春日武彦、青土社、2021.

P59
電車の中で他の乗客たちが交わす会話や、待合室でボソボソと囁かれる会話に耳をそばだてるのは私の趣味である。ほんの断片から様々なことを想像する喜びがある。ときには思ってもみなかった表現や言い回しに驚嘆することすらある。

↑これは私も同じ趣味です・・・(苦笑)。

時に気になり過ぎるので、音楽を聴くこともありますが・・・

たくさんの名言や迷言(?)を耳にしたことがあり、喜びかつ驚きがありますね(^-^)

 

P222
患者にとっての満足感と、患者の人生における平穏無事とは必ずしも一致しない。本人は絶好調になりたいけれど、医療者サイドからすれば「絶好調ってちょっと危なっかしいからなあ・・・」となる。覚醒剤が根絶に至らないのは、まさにそれが「絶好調」をイージーにもたらしてくれるからであり、正直なところ「そりゃハマる奴もいるよな」と思わずにはいられない。
満足感と平穏無事、あるいは絶好調と若干の<うつ寄り>–その落差の中にこそ、その人にとっての人生の問題、おそらく高望みや無力感にまつわる案件が課題として埋め込まれているのだろう。そこを蔑ろにして満足感のみを求めるのは、正しい態度ではないと思うのである。
不調から一転、絶好調に至るのはドラマチックな出来事に違いない。医療者は患者から感謝されることだろう。名医と呼んでもらえるかもしれない。しかし少なくとも精神科領域においては、ドラマチックな展開の中にニセモノめいた、「いかがわしさ」や生き方の根幹に関わる脆弱性が潜んでいる可能性が高いと警戒すべきである。患者と一緒に手放しで喜んでいるようでは、多分医療者として「修行が足りない」のである。

 

↑カウンセリングにおいても、劇的な回復や変化が起きることは少ないです。

し、劇的な回復や変化は、私も用心します(時に、早期介入や予防としての提案や心理教育がうまく行く時もありますが)。

例えば、不登校のお子さんが相談室や教室復帰という変化が見受けられた時には、

私は「無理は禁物だよ。しんどかったり、つらかったら、いつでも戻って(安心できる場所や状態へ))きていいからね」といった旨の言葉掛けをします。

「らせん階段状の回復」と呼ばれるような、ゆっくりだけど、確実な小さな変化を積み重ねていくこと。

水前寺清子さんの歌ではないですが、

「三歩進んで二歩下がる」。1歩は進んでいます・・・こんな感じの変化でカウンセリングを進めていくようなイメージでやることが多いです。

新年度が始まり、約1か月が過ぎようとしています。ゴールデンウイークも目の前ですが、無理せず、マイペースでやっていきましょう!!

ではでは。

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